素敵な言葉の使い方
2011年 06月 29日
説明の最後には、なんでも質問してくださいとの項目が。
全て納得して、手術するか同意書にサインする。
その前に…
母は右腕の怪我をしてから約三年、今では動くようにもなっていた。
でも、力を入れると腕が落ちてくる。
実は、肩腱板断裂という症状で腕と肩を繋ぐ腱が切れているというものだった。
今年に入ってわかったのだ。
ずっとそうだったのに、以前調べた医者が MRIで気付けなかったためほうっておかれた。
改めて調べて判明、三年も経ってから手術となった。
それは今更仕方ない。
私が??を感じたのは、手術担当医師の手術の説明後だった。
母は同じ症状の中でもヒドイ方で、手術をしても縫いきれないかもしれないとのことだった。
例えば、10センチ縫合したいにも3センチしか縫えなかった場合は、完治しないにせよ少しは良くなるものだろうか?
例えば、上手くいったとして運転できるようになる目安はどれぐらいなのか?
当然出る質問だろう。
私は記者ばりに質問した、メモとるつもりで。
しかし、医者はこうしか答えなかった。
「人それぞれなので、なんとも。」
訴訟が頻繁にある世の中だからなのか?
医者が名言できないのはわかる。ましてや私のような口うるさい患者の身内がいるんだもの。
でも私が聞いているのは、あくまでも目安だ。
いつぐらい?とか、少しは良くなるのか?とか、あくまでも憶測で結構ですと聞いているのだ。
「人それぞれ」よく聞く言葉だな…。
「感じ方は人それぞれ!」私もよく使う言葉。
相手を不安にさせない時に使える言葉ではなかろうか?
私は仕方なく同意書にサインしました。
ここまできたもの一応手術をうけて、母には気持ちよく腕を動かして欲しいもの。
医者は、最後まで素敵な言葉をつかいませんでした。
きっと持ち合わせてないのかも知れません。
私には病気を治す技術は全くないけれど、素敵な言葉を知っています。
「まずは一緒に頑張りましょう!」
たったそれだけでいい。
医者だって、患者だって頑張るんだもの、その一言で安心するのに。
出来れば力強く言い切ってくれたか、それだけで頑張れる。
手術するもしないも人それぞれ、治り方も人それぞれ、人それぞれだからなんとも言えない。
そんなの不安です。
手術の技術よりも簡単なはずの素敵な言葉。
しかしあまりに曖昧な説明の医者に、つい喧嘩腰の私はその医者に素敵な言葉を使ってあげられませんでした。
きっと目も三角になっていたはず…。
「ごめんなさい」反省です。
その医者は無事に手術をしてくれました。
「ご苦労様でした、ありがとうございました、お世話になりました」たくさんのお礼を心を込めて言いました。